中小企業のAI導入成功事例｜無駄な作業をなくす3つの方法

日本生産性本部が発表した調査によると、生成AIなどのデジタル技術が仕事に与える影響について、「脅威を感じている」と「脅威を感じない」という意見がほぼ拮抗していることが分かりました。しかし、日本の労働生産性が低い最大の要因は「無駄な作業・業務が多い」という点です。

この調査結果は、私たち中小企業の経営者の方々が、AIを恐れるのではなく、無駄な作業をなくして生産性を上げるための「最大のチャンス」と捉えるべきであることを示しています。中小企業がAI導入で成功するためには、高額なシステムは必要ありません。大切なのは、身近なツールを使って、社員の時間を奪う無駄な業務を削減することです。この記事では、中小企業がAIやデジタル技術を味方につけ、無駄な作業をなくして生産性を上げる「3つの具体的な方法」を、成功事例として分かりやすく解説します。

AI導入が中小企業の「無駄な作業」を一掃する理由

多くの社員が無駄な作業に時間を取られている現状は、人手不足の中小企業にとって致命的です。AIの導入は、その状況を一気に改善する鍵となります。

1. 「定型業務」こそAIに代替させるべき

中小企業の無駄な作業の多くは、データ入力や書類作成など、決まりきった手順の定型業務です。これらはAIが得意とする分野です。

時間の節約：AIが定型業務を代替することで、社員は本来、売上や顧客満足に繋がるコア業務に集中できるようになります。これは、中小企業の生産性を最も効率的に上げる方法です。
ミスの削減：人間が手作業で行うデータ入力はミスが発生しやすいですが、AIやRPA（ロボットによる自動化）であれば、正確かつ高速に処理できます。

2. 社員の「デジタルスキル」向上は脅威ではない

AIに仕事を奪われるという脅威を感じるのではなく、AIを活用するスキルを身につけることが、社員にとってのチャンスになります。

付加価値の高い仕事へ：AIによって無駄な作業がなくなれば、社員は創造性や判断力が求められる、より重要な仕事に取り組む機会を得られます。
会社全体の成長：中小企業が積極的にAI導入を進め、社員のデジタルスキルを向上させることは、企業全体の競争力を強化することに直結します。

中小企業のAI導入成功事例に学ぶ「3つの方法」

中小企業が、AIを実際に導入し、無駄な作業をなくして生産性を向上させるための「3つの実践的な方法」をご紹介します。

1. コア業務に集中するための「RPAによる自動化」

人手でやっている繰り返し作業をRPAで自動化することは、中小企業のAI導入成功事例として最も多く見られます。

事例：経理業務の自動化：RPAを導入し、銀行の入出金データを自動で会計ソフトに入力させることで、毎月数時間かかっていた作業を数分で終わらせることができます。
事例：受発注業務の効率化：FAXやメールで届く受発注情報をRPAが読み取り、基幹システムに自動で登録させることで、担当者の入力ミスと無駄な時間を削減します。

2. 「生成AI」によるコミュニケーションの効率化

生成AIは、メール作成や会議の要約といった、コミュニケーションに伴う無駄な作業を劇的に削減します。

事例：メール作成時間の大幅短縮：社員が生成AIに「お客様へのお詫びと代替案を含むメールの下書き」を作成させることで、一通あたりの作成時間を半分以下に短縮します。
事例：会議後の情報共有を瞬時に：会議の録音データを生成AIが要約し、議事録のドラフトを自動作成することで、無駄な資料作成時間をなくし、情報共有のスピードを上げます。

3. 「クラウドSaaS」を活用した情報探しの無駄削減

情報探しにかかる無駄な時間は、生産性を大きく下げます。クラウドベースのSaaS（ソフト）導入は、中小企業が成功事例を積み重ねやすい方法です。

事例：契約書管理の効率化：紙やファイルサーバーにバラバラに保管されていた契約書をクラウドSaaSで一元管理することで、社員が必要な情報を数秒で検索・共有できるようになりました。
事例：勤怠管理の自動化：勤怠管理SaaSを導入することで、手書きやエクセルによる無駄な集計作業がなくなり、給与計算にかかる時間とミスをゼロに近づけます。

まとめ：中小企業 AI 導入成功事例は身近な無駄の削減から

この記事では、日本の労働生産性が低い要因が「無駄な作業」であることを踏まえ、中小企業がAIやデジタルツールを活用して生産性を上げるための「3つの具体的な方法」を、成功事例とともにお伝えしました。

RPAによる定型業務の自動化、生成AIによるコミュニケーションの効率化、そしてSaaSによる情報探しの無駄削減は、中小企業がAI導入で成功を収め、人手不足を乗り越えるための重要な戦略です。

当事務所でも、AIをできるだけ活用するように考えています。

参考資料

この記事を書いた人

大野輝雄: 大野輝雄社会保険労務士事務所代表
株式会社アクションパートナーズ代表取締役

社会保険労務士
一般社団法人日本キャッシュフローコーチ協会認定キャッシュフローコーチ
一般社団法人採用定着支援協会　認定採用定着士
銀座コーチングスクール（GCS）認定プロフェッショナルコーチ

関西学院大学卒業、2007年に社会保険労務士として独立。大阪市内を中心に人事・労務についてのサポートやセミナー業務を行っている。同株式会社ならびに社労士事務所にて支援した企業は100社以上。大阪商工会議所、神戸商工会議所、堺商工会議所、高槻商工会議所等にてセミナー実績90回以上。