賞与と評価を連動!中小企業が取り組むべき定着戦略3選
マイナビが発表した「2025年冬ボーナスと転職に関する調査」によると、現在転職を考えている正社員の2人に1人が、「今年の冬ボーナスをもらってから転職予定」と回答しています。この結果は、企業にとって賞与支給のタイミングが、社員の離職リスクが最も高まる時期であることを明確に示しています。
一方で、同調査では、3人に1人が「想定よりも賞与額が高かった」ことで転職を思いとどまった経験があることも分かっています。これは、賞与の金額が社員の転職の意思決定に強く影響を及ぼしていることを意味します。中小企業の経営者の方々にとって、この賞与を単なる人件費ではなく、優秀な人材を定着させるための戦略的ツールとして活用することが急務です。その鍵となるのが、賞与を評価に連動させ、社員の納得感を高めることです。この記事では、中小企業が賞与と評価を連動させ、離職を防ぎ定着を確実に実現するために取り組むべき「3つの具体的な戦略」を、わかりやすく解説します。
なぜ今、中小企業は賞与と評価の連動が必要なのか
賞与の支給が離職リスクを高める最大の原因は、「賞与の金額が自分の頑張りを正当に評価していない」という社員の不満と不信感です。この問題を解消するには、中小企業が賞与と評価を連動させることが必要です。
1. 社員の「納得感」が不満を打ち消す
社員は、自分の賞与額が公正で透明性のある基準で決まっていることを知れば、たとえ金額が他社よりも少なくても納得感を持ちやすくなります。
- 期待値のコントロール:評価と賞与の連動を明確にすることで、社員は「頑張りに応じた報酬がもらえる」という期待を持つことができ、モチベーションに繋がります。
- 会社への信頼向上:賞与の算定根拠が曖昧な中小企業が多い中で、評価に連動した透明性の高い制度は、会社への信頼感を飛躍的に高めます。
2. 定着が企業の成長に直結する
賞与が評価に連動していると、社員は高額な賞与を目指して業務に集中し、生産性が向上します。結果的に、優秀な人材が定着し、中小企業の持続的な成長に繋がります。
- 目標達成への意欲:賞与が評価と連動することで、社員は評価されるための目標達成に意欲的に取り組むようになります。
中小企業が賞与と評価の連動を実現する「3つの戦略」
中小企業が、賞与を評価に連動させ、離職を防ぐための「3つの具体的な戦略」をご紹介します。
1. 「賞与算定ルール」を明確にする。
賞与の評価連動を絵に描いた餅で終わらせないためには、そのルールを社員に開示することが大前提です。
- 支給条件の明確化:賞与が「会社の業績」と「個人の評価」のどの割合で決まるのかを明確にしましょう。
2. 「フィードバック面談」を支給とセットで行う
賞与の支給だけで終わらせず、評価が賞与額にどう連動したのかを、個別の面談で社員に説明することが重要です。
- 根拠の説明:評価の結果を数値や具体的な事例を交えて社員に伝え、「あなたのこの努力が賞与に結びついた」とフィードバックしましょう。
- 次期への目標設定:面談の最後に、「次回の賞与でさらに高い金額を目指すために、何を改善すべきか」を社員と一緒に目標設定することで、次期のモチベーションに繋げます。
3. 「プロセス評価」の要素を導入する
中小企業では、結果だけでなく、業務に取り組む姿勢や能力といったプロセスも評価に加えることで、賞与に対する納得感を高めることができます。
- 能力・行動評価の導入:成果だけでなく、「協調性」「課題解決能力」「新しいスキルの習得」など、賞与に連動させるための評価項目を明確に設定しましょう。
- 多面的な評価:上司だけでなく、同僚や関係部署からの評価も賞与に反映させる仕組みを導入することで、公正性と透明性が高まり、社員の納得感に繋がります。
まとめ:中小企業が賞与と評価の連動で離職リスクを最小化
この記事では、賞与支給後に離職リスクが高まるという民間調査の結果を踏まえ、中小企業が賞与と評価を連動させ、社員の定着を実現するための「3つの具体的な戦略」をお伝えしました。
賞与算定ルールの明記、フィードバック面談の実施、そしてプロセス評価の導入は、中小企業が人手不足時代に優秀な人材を定着させるための効果的な戦略です。
賃金制度や人事戦略に関する具体的なご相談は、私たち専門家にお任せください。当事務所は、貴社の状況に合わせた、中小企業の賞与を最大限に活用し社員の定着を促す人事・労務戦略の構築をサポートしています。
参考資料
マイナビ 調査リリース「2025年冬ボーナスと転職に関する調査」(2025年11月27日発表)
この記事を書いた人

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大野輝雄社会保険労務士事務所 代表
株式会社アクションパートナーズ 代表取締役
社会保険労務士
一般社団法人 日本キャッシュフローコーチ協会 認定キャッシュフローコーチ
一般社団法人 採用定着支援協会 認定採用定着士
銀座コーチングスクール(GCS)認定プロフェッショナルコーチ
関西学院大学卒業、2007年に社会保険労務士として独立。大阪市内を中心に人事・労務についてのサポートやセミナー業務を行っている。同株式会社ならびに社労士事務所にて支援した企業は100社以上。大阪商工会議所、神戸商工会議所、堺商工会議所、高槻商工会議所等にてセミナー実績90回以上。
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