若手社員定着支援制度が鍵!中小企業が採るべき3つの戦略
パーソル総合研究所が発表した「賃上げと就業意識に関する定量調査」によると、「給与が上がらない場合」に転職を検討すると答えた人は全体で26.0%、特に20代では38.3%に上ることが明らかになりました。これは、若手社員の離職リスクが非常に高まっていることを示しています。
中小企業の経営者の方々にとって、優秀な若手人材の流出は、人手不足をさらに深刻化させる重大な課題です。大手企業のような大幅な賃上げが難しい状況で、中小企業が若手社員の定着を図るには、給与以外の非金銭的な価値で勝負しなければなりません。最も効果的な戦略が、若手社員の定着を直接支援する制度を整備することです。この記事では、若年層の転職志向に負けず、中小企業が若手社員の定着とモチベーションを高めるために取り組むべき「3つの具体的な戦略」を、わかりやすく解説します。
なぜ賃上げだけでは若手社員の定着が難しいのか
賃上げは重要ですが、調査結果が示す通り、ベースアップがあった人でもモチベーションが向上したのは約半数にとどまっています。これは、若手社員が給与以外にも、将来性や成長を求めているからです。
1. 若手社員は「成長とキャリアパス」に不安を感じる
20代や30代の若手社員は、目先の給与よりも、この会社で働き続けた場合に自分が成長できるのか、キャリアを描けるのかという点に不安を感じています。
- 将来への見通し:中小企業において、昇進や昇給の道筋が曖昧だと、「ここで頑張り続けても将来性がない」と感じ、より明確なキャリアパスを持つ他社への転職を検討してしまいます。
- 評価の不透明性:給与や昇進が評価とどのように結びついているのかが不透明だと、会社への不信感が募り、モチベーションの低下に繋がります。
2. 「働きやすさ」が金銭的報酬を上回る時代
若年層は、ワークライフバランスに対する意識が高く、柔軟な働き方や福利厚生といった非金銭的な報酬を重視する傾向があります。
- 離職理由の変化:給与が不満で辞めるケースに加え、長時間労働や休暇の取りにくさといった働き方への不満が、若手社員の離職の大きな理由になっています。
若手社員 定着 支援 制度を成功させる「3つの戦略」
中小企業が、若年層の転職志向を食い止め、社員の定着とモチベーションを向上させるために、今すぐ実行すべき若手社員定着支援制度に関する「3つの具体的な戦略」をご紹介します。
1. 「成長・スキルアップ支援制度」でキャリアを約束する
若手社員が「この会社で成長できる」と実感できる仕組みを整備することが、最も効果的な定着支援制度です。
- 外部研修費用補助:デジタルスキルやビジネススキルなど、若手社員が市場価値を上げられる外部研修への参加費用を全額または一部補助する制度を設けます。
- 資格取得報奨金:業務に必要な資格を取得した社員に報奨金を支給したり、受験費用を会社が負担する制度も、スキルアップの意欲を掻き立てます。
2. 「メンター・キャリア面談制度」で将来を見える化する
若手社員の将来への不安を解消し、キャリアパスを具体的に提示する制度を整えましょう。
- メンター制度の導入:若手社員に直属の上司とは別の先輩社員(メンター)をつけ、業務やキャリアに関する相談ができる制度を設けることで、孤立を防ぎます。
- 定期的なキャリア面談:昇進や昇給の時期以外にも、若手社員と上司がキャリアについて話し合う機会を定期的に設け、成長に応じた役割を明確に示します。
3. 「働き方柔軟化支援制度」で安心感を提供する
若手社員の私生活との両立を支援する制度は、会社への信頼感と安心感を高め、定着に繋がります。
- 柔軟な勤務形態:職種に応じてリモートワーク、時差出勤、短時間勤務といった柔軟な働き方を就業規則に明記し、制度として利用できるようにします。
- 法定外特別休暇:リフレッシュ休暇や病気の際の有給休暇など、社員が安心して休めるための特別休暇制度を整備し、福利厚生の充実を図ります。
まとめ:若手社員定着支援制度で給与以外の魅力を創出する
この記事では、20代の転職志向の高まりという調査結果を踏まえ、中小企業が若手社員の定着とモチベーションを向上させるための若手社員定着支援制度に関する「3つの具体的な戦略」をお伝えしました。
成長・スキルアップ支援、メンター・キャリア面談制度、そして働き方柔軟化支援は、中小企業が給与競争に頼らず、優秀な若手社員に長く働いてもらうための、効果的な定着戦略です。
当事務所は、貴社の状況に合わせた、若手社員 定着 支援 制度を構築し、社員のモチベーションと企業の成長を最大化する人事・労務戦略の構築をサポートしています。
参考資料
パーソル総合研究所 調査リリース「賃上げと就業意識に関する定量調査」(2025年11月13日発表)
この記事を書いた人

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大野輝雄社会保険労務士事務所 代表
株式会社アクションパートナーズ 代表取締役
社会保険労務士
一般社団法人 日本キャッシュフローコーチ協会 認定キャッシュフローコーチ
一般社団法人 採用定着支援協会 認定採用定着士
銀座コーチングスクール(GCS)認定プロフェッショナルコーチ
関西学院大学卒業、2007年に社会保険労務士として独立。大阪市内を中心に人事・労務についてのサポートやセミナー業務を行っている。同株式会社ならびに社労士事務所にて支援した企業は100社以上。大阪商工会議所、神戸商工会議所、堺商工会議所、高槻商工会議所等にてセミナー実績90回以上。
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